1. DNS/ブロッキング/法的検討
Contents
サイトブロッキングあるいはDNSブロッキングが違法だという根拠はなにか。
- 簡単に言い切れるほど自明なことなのか。
- 利用者の意図を妨げているから 「違法」だというのなら、中途半端である。(表現の自由の侵害とか、検閲と言うほうがまし。) 利用者の意図(期待)を問題にするのであれば、事前に断っておくのがよいだろう。
- 漫画村へのアクセスを保証する義務はないのだから。(8.8.8.8を使えとか)
それではブロッキングの意味がないということになるだろうが、別の話だ。-- ToshinoriMaeno 2018-05-04 23:22:25
- 利用者の意図を妨げているから 「違法」だというのなら、中途半端である。(表現の自由の侵害とか、検閲と言うほうがまし。) 利用者の意図(期待)を問題にするのであれば、事前に断っておくのがよいだろう。
ブロッキングは著作権保護の手段としては有効だとは思えないのだが、
- 「通信の秘密」を侵害し、違法である
という主張もあるので、法的根拠を調べてみる。(結論は「通信の秘密」の侵害とは言えない)
ただし、表現の自由を妨げる検閲の可能性はある。(範囲が広い)
- 判例がない。(電気通信事業法に関しての判例がないらしい)
一方で検閲にあたるという説もあるので、関心を持っている。-- ToshinoriMaeno 2018-05-04 12:23:13
2. 分ったこと
2.1. 通信の秘密
ISPが顧客のパケットを見ることは
1. 当事者であることで、違法でも「通信の秘密」を侵す行為でもない。(憲法に基づく解釈) 2.事業者としては「電気通信事業法」によれば、「通信の秘密」を侵すが、正当業務だという違法性阻却事由がある。
どちらにしても「窃用」にはあたらない。
違法性阻却事由のうちの正当業務の範囲がどうなっているかは監督官庁と業者自身が決めている。
- これが憲法の「表現の自由」を守るのに十分かは怪しい。
2.2. 監視
監視という表現も適当ではない。(すべてのパケットをみることが仕事なのだから)
- 何かを監視する目的でパケットを見ているなら、「窃用」になるかもしれない。
2.3. DNSブロッキング
DNSブロッキングがなにを指すかは明らかになっていない。
- これはDNSに詳しくないひとが議論しているからだと推定する。今後の推移をみる。
- つまり、現状で言えるのは違法かどうかは不明ということ。
-- ToshinoriMaeno 2018-05-09 04:29:01
2.4. 遮断
DNSブロッキングでは「違法コンテンツサイト」への接続を検知して「遮断」しているとはいいづらい。
- 接続できる状況にないのだから。ここは用語の選択が不適当ということだろう。
2.5. 外部/複数リゾルバー利用
ISPが提供するリゾルバーを使わなければネット接続させないということは考えづらい。
- DNSブロッキングは簡単に回避できる。
2.6. 分離不可説
DNSブロッキングだけを取り出して違法性を論じることはできないという主張もある。
- DNSブロッキングでなにをしようが違法かどうかの判断は無意味だというひとまでいる。
- 違法ではないという結論は受け入れないということのようだ。違法なら、どうだろう。
DNSリゾルバーがプロバイダのサービスとは独立したサービスだと考えられるひとは多くない。
- これ自身が問題だと考える。
ISPが外部のリゾルバーを使わせるようにしていた場合はどうなのか。
リゾルバーの返答が結果的にサイトをブロックすることにつながる場合もありそうだが、
- それはリゾルバーの設定が違法だということではない。この辺も難しい。(裁判所が判断できるのだろうか。)
3. 罪刑法定主義
まずは「違法」に関しての調査
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BD%AA%E5%88%91%E6%B3%95%E5%AE%9A%E4%B8%BB%E7%BE%A9
罪刑法定主義(ざいけいほうていしゅぎ)とは、ある行為を犯罪として処罰するためには、 立法府が制定する法令(議会制定法を中心とする法体系)において、 犯罪とされる行為の内容、及びそれに対して科される刑罰を予め、 明確に規定しておかなければならないとする原則のことをいう。
4. かなり議論されている
法的問題検討サブワーキング 報告書 (児童ポルノのときの話ではなさそう)
https://www.good-net.jp/files/original/201711012219018083684.pdf
いろいろおかしな記述がある。-- ToshinoriMaeno 2018-05-04 13:40:00
違法性阻却
通信の秘密の侵害であっても、正当業務であれば、違法性はなくなる。-- ToshinoriMaeno 2018-05-04 12:18:01
5. 2018
「通信当事者の合理的意思」を邪魔するのは違法だって。
- これを言い出すと、プロバイダはDNS(リゾルバー)の提供をやめるしかなくなる。
インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/honpen.pdf
- 緊急対応だといいたいらしい。
ブロッキングの法律問題 弁護士 森 亮二 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2018/contents/dai3/siryou3.pdf
ブロッキングが「正当行為」に当たるか。
ブロッキングを脅迫電報差し止めと同種だと考えるのは間違いだと思う。
- 他の方法もあるから。
この資料は児童ポルノサイトのブロッキングのときにでた資料ではないのか。
サイト・ブロッキングの政策的正当化および手順 https://business.bengo4.com/category5/article311
6. 2011
DNSブロッキングの法律問題 InternetWeek2011 DNS DAY 弁護士 森亮二 https://www.nic.ad.jp/ja/materials/iw/2011/proceedings/d1/d1-08.pdf …
7. ブロッキングとは
児童ポルノ対策時の説明だろう。(これが著作権違反対策にそのまま適用できるのだろうか)
ユーザがウェブサイト等を閲覧しようとする場合に、 当該ユーザにインターネットアクセスを提供するISP等が、 ユーザの同意を得ることなく、 ユーザーがアクセスしようとするウェブサイト等のホスト名、 IPアドレスないしURLを検知し、 そのアクセスを遮断する措置をいう。
「ISP等」がなにを指すのか、曖昧だ。「アクセスを遮断する措置」もはっきりさせないと。
安全ネットづくり促進協議会 https://www.good-net.jp/anshinkyo/
ブロッキングと通信の秘密との関係 1.ブロッキング(強制遮断措置)とは https://www.good-net.jp/blocking/relation/
インターネット利用者がインターネット上のサイトやコンテンツにアクセスしようとする際、 ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)等が、 1 常時、アクセス先を監視しており、児童ポルノサイトへの接続であることを検知した場合 2 その児童ポルノサイトの閲覧を強制的に遮断する措置 のことを言います。
似たような表現を見た。(常時、監視というのは無理な条件だと思うが)
8. DNSブロッキング
上の条件にはあてはまらない。:-)
そもそもDNS(リゾルバー)サービス自身が該当しない。
- アクセスを遮断していると言えるのか。
9. 通信の秘密の侵害か
これもあやしい。(秘密を侵害する意図があることが条件になるだろうし、漏洩ならその事実を示すことが条件だろう)
ISPは特定URLへの到達を保証するものではないし、 DNSブロッキングが接続を遮断してるわけではない。
安全ネットづくり促進協議会 ブロッキングと通信の秘密との関係 2.電気通信における通信の秘密との関係 1)通信の秘密の侵害 https://www.good-net.jp/blocking/relation/relation_2-1
ブロッキングは、アクセスの途中、つまり電気通信事業者の取扱中に係る通信について、 ISPにおいて、ユーザーがアクセスしようとするサイトのホスト名、IPアドレス、URLを検知して遮断する行為です。 その検知・遮断行為は、次のことから、通信の秘密の侵害にあたります。 1 知得:通信の秘密の保護の対象である情報を知る行為 2 窃用:通信事業者の意思に反して、利用する行為
- この辺の間違いを誰も指摘しない。(ISPは状況によって、第三者ではない。利用者の同意を得ている可能性もある。)
パケットを見ることが「秘密の侵害」という解釈とは異なる立場で。
- 第三者が「知得」する?
当事者は「知得」の必要がない。 「窃用」と「漏洩」はあり得る。
10. 重要
第373号コラム「通信の秘密侵害罪における正当業務行為について」 https://digitalforensic.jp/2015/08/03/column373/
裁判所による公権的な解釈ではなく、 行政当局または事業者側の自主的なかつ自制的な解釈によって 電気通信事業者およびその関係者の行動が制約されるところに特徴があります。 しかも、通信の秘密侵害罪の構成要件の解釈という条文解釈の領域ではなく、 同罪の成立を否定する正当業務行為(刑法35条)の解釈が法律の所管官庁または事業者の自主規制に委ねられている ところが極めて特殊であり、 その解釈が時として裁判所の公権的な解釈にそぐわない可能性も内在していることに注意しなければなりません。
2 通信の秘密侵害罪は、その行為主体を限定していないことから、電気通信事業者自らがその取扱中に係る通信の秘密を侵害した場合、通信の秘密侵害罪の構成要件に該当することになります。電気通信事業法4条2項が、電気通信事業者について他人の秘密の侵害を禁止していることから、事業者が通信当事者となる場合に、本罪の構成要件に該当しないのではないかとの疑念が浮かぶかもしれません。
11. 違法性阻却事由
刑法各則に規定された犯罪の類型 (構成要件) に該当する行為を特別に許容し正当化する根拠をいう。
- 正当化事由とも呼ばれる。
日本の刑法は違法性阻却事由として,
- 法令行為と正当業務行為 (35条) ,正当防衛 (36条) ,緊急避難 (36条) を規定している。
「秘密の侵害」にあたらないのであれば、違法性阻却事由は無用である。
12. 正当業務行為
刑法35条
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%91%E6%B3%95%E7%AC%AC35%E6%9D%A1
医師の治療行為や報道機関の業務活動のほか,被害者の承諾による行為,安楽死,自救行為
刑法35条において、「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」という規定がある。
- 正当行為には、法令による行為と正当業務行為がある。
第373号コラム「通信の秘密侵害罪における正当業務行為について」 https://digitalforensic.jp/2015/08/03/column373/
13. ISPの正当業務とは
法に規定があるのか。(なさそう)
- リゾルバーの提供は正当業務なのか。そこでの設定は許される範囲のものか。
「秘密の侵害」にあたらないのであれば、違法性阻却事由は無用である。
14. 自救行為
自己の権利を回復し保全するために,公権力によらず,権利者みずからが行う実力行動
- 自力救済 (じりょくきゅうさい) ともいう。
ISPなどで言えば、DDoS対策などが該当しそう。
15. リゾルバーサービスの分離
ISPとしての土管からはリゾルバーサービスを分離するのが最善か。
- 外部のDNSサーバー(リゾルバー)に問い合わせるのは利用者であって、ISPではないという言い訳ができる。
- あれ、今でもそうい形態になっていそうだ。リゾルバーサービス宣言だけだせば済みそう。
分離したリゾルバーサービスでなにをやるかは議論の余地がある。
-- ToshinoriMaeno 2018-05-03 04:33:45
16. インターネットコンテンツセーフティ協会
2011年3月3日に発足した団体です。 児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体として児童ポルノ画像が掲載されたサイトに係るアドレスリストの作成・管理を行うなど、