DNS/ブロッキング/OP53B/ISPについて、ここに記述してください。
OP53B 実施とその他の議論について
OP53B 実施とその他の議論について (一社) 日本インターネットプロバイダー協会 副会長兼専務理事 立石 聡明
OP53B について ・OP25B も簡単に実施できたわけではない。 ・業界全体で OP25B を行う環境を整備し、数年かけて地域を分けて少しずつ実施。 ・それでもメールの送信が出来なくなったユーザへのサポートを ISP や関連事業者 で行った。(当然法的整理を行い、約款やユーザ規約の見直しなどの手続きだけでも 相当慎重な検討を行っている)
・OP53B を行うと OP25B のようにメールだけではなく、インターネット全体が利用で きなくなるために、相当の混乱が発生することは容易に想像できる。 →インターネットの破壊と行っても過言ではない。 ・ソフトウエアやハードウエアによっては、初期設定で外部の DNS を設定・参照して いるものもあり対応は容易ではない。 ・接続出来なくなった全ての場所へ人間が行って設定変更する必要があるが、 その費 用を負担できるのか。(例え IP ベースでの接続はできてもネームベースでの接続が 出来なくなることにより、 リモートサポートが不可となるため、 現場に技術者が出向 いて設定変更等を行う必要がある) ・また、中小や一部の ISP は接続にローミングを利用し DNS は自社を使うよう設定 しているところもあるが、 このような形態の事業者は自社 DNS を利用できなくなる。 ・その他設備の変更や運用に伴う費用が発生するが、これら OP53B を行った場合の 実施費用は誰が持つのか?サポートについても同様である。 ・NTT 東西のフレッツ網における IPv4 と IPv6 の DNS 変換における、0.1 秒程度の 遅延ですら大問題になった経緯がある。いわゆる DNS フォールバック問題など。
・エビデンスに基づく議論 ・インターネットに関する正しい知識に基づく議論をお願いしたい インターネットの仕組みに関して正しい知識を持たないまま手法を決めるのは、 劇薬の副作用を知らないまま投薬するようなもの。 ブロッキングについても、 足先の出血を止めるために、 心臓動脈を止めているよ うなものである。 ・年間の売上が 4000 億あまりの市場において、被害額が半年で 3000 億という金額 は、客観的に見て到底納得のいく金額ではない。 ・その他アクセス数などについても極めて曖昧な数字しか発表されていない。 資料5 ・海賊版サイトに関する告訴等の現状についての具体的な公開がないまま対策を打 ち出すのでは、全くエビデンスに基づいておらず適正な対策が検討される環境だと は考えられない。
・総務省の発言に関する反応について ・前回(第 5 回)の総務省の発言「今後のネット社会のあり方として、監視の方向に進 むのか、自由なネット社会を目指すのかということ」は、ごく当然の話をしたままで あり、これに対してそのような次元の対立軸を持ち出すのはけしからんという発言 は、 「ブロッキング」という手法に対する正しい知識を持ち合わせないものの発言で ある。 ・インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話等においても、 また国連が開 催する IGF を中心とした各地で開催されるインターネットのガバナンスに関する会 合等においても、自由でオープンなインターネット社会の構築を目指そうとしてい るところ、日本はそれを逆行する政策をとることには強い危機感と共に反対を表明 したい。 ・ 「政府が一丸となってやって行く」ということ自体に薄気味悪さを感じる。まして や国民全体の権利を守ろうとする主張に対して、この言葉でもってその発言を封じ ようとする態度には、 大政翼賛的匂いのするきな臭さを感じ、 ここでの議論の在り方 そのものを問うべきではないかとさえ思わずにはいられない。
・その他全般的に ・未だ「接続遮断は直ちに違憲となるとは限らない」と説明されているが、違憲とな らないための条件は相当に厳しく、簡単に合憲とはならないとこれまでの会議でも 再三に渡って宍戸先生、 森先生らが指摘しており、 他の法学者等も今回のケースにお いてブロッキングは違法である可能性が非常に高いと主張しているところである。 ・ブロッキングに関する正しい知識すらないまま、 ブロッキングありきの議論になっ ているとしか思えない。 ・著作権侵害のためなら何をしてもいいという発想に基づいて会議が進んでいるよ うに感じる。
以下、第 5 回の会議より パブリック DNS を訴える? インターネットの世界を全て敵に回すようなことを正気でするつもりなの か?(国際問題にもなりかねない) パブリック DNS の数は決して少ないわけではなく利用することで接続が高 速化されるなどのメリットをうたう事業者もあり、これらを利用するユー ザの機会を奪うことになるが、これらの問題点についてどう整理するの か? 権利者の一部の要望で全部遮断? 一部の権利者の権利で、他の権利者の権利侵害を認めろということに無理 がありすぎるのではないか。またこれについては簡単に悪用されることも あり、更に混乱を生み出すだけで認められない。
・海賊版サイト対策についての試案(カジュアルユーザ対策) 日本ではあまり普及していないアドブロック・アドオン・アプリが、欧米ではかなり 普及している。 日本より遙かに普及している理由は、 cookie 等を利用した(特に Third Party による)トラッキング対策、要するにプライバシー保護、や余計なトラフィッ クを流さない為の対策。何より見たくない広告の消去という目的のためにかなり普 及している。 このアプリと連携して警告を出すなり、フィルタリングするということは、 Phishing 対策やプライバシー保護等セキュリティの観点から有用であり、緊急を要 するサイトへの対応も迅速且つ容易に出来ることから、十分とは言えないまでもそ れなりに効果は期待できる